向山洋一先生の代表的な著書。教壇に立つ全ての教師の必読書だと思っています。
教員になってから読んだ本の中で、一番最初に衝撃を受けた思い出深い本です。
この記事では、『授業の腕を上げる法則』の概要と、読んで実践した感想を紹介します。
目次
目次
- 『授業の腕を上げる法則』の概要
- 授業の原則とは?
- 感想
- まとめ
『授業の腕を上げる法則』の概要
『授業の腕を上げる法則』は日本の教育界に多大な影響を与えてきた向山洋一先生の著書です。
教育をするには、技術や方法が必要であり技術や方法は科学的であることが求められる。だが、現実の教育はこの逆である。「技術」や「方法」もなく教育をしている教師が多く、また、たとえ「技術」や「方法」を使っている場合でも科学的でない場合が多い。
第1章「授業の原則」冒頭部分より
まさに、いかなる時代の教育にも必須のスキルと言えるものが、簡潔に書かれています。本書は、
- 第1章 授業の原則
- 第2章 教師の技量
- 第3章 授業の腕を上げる法則
- 第4章 新しい教育文化の創造
の4つの章から構成されています。
本書を読むことで、
授業が上手い人はどんな技術を使っているのか
その技術を高めるにはどうしたらよいのか
がわかり、その結果
もっと授業が上手くなりたい!と思えるようになります。
特に最近先生になられた方に是非読んでほしい一冊ですが、まだ読まれていないという方は、ぜひ本書を手に取って実際に読まれることを強くオススメします。モチベーションアップ間違いなしです。
授業の原則とは?
今回紹介したいのが、「授業の原則10ヶ条」というもの。世界中どこを見回しても全てがまったくもって同じ教室というものは二つとありません。先生、子ども、設備環境、地域、なにもかも違う。
しかし
上手い授業には必ず、共通した大切な技術や方法が使われています。どんな子どもが相手であろうと絶対に守らなければいけない技術や方法。そして、それらを支えている決して変わることのない考え方。そのような考え方をこの本では「原則」として10個にまとめて示しています。
- 趣意説明の原則
- 一時一事の原則
- 簡明の原則
- 全員の原則
- 所・時・物の原則
- 細分化の原則
- 空白禁止の原則
- 確認の原則
- 個別評定の原則
- 激励の原則
この10ヶ条がとても大切。授業を行う際には必ず意識したいポイントです。一つ一つ簡単に紹介していきます。
①趣意説明の原則
子どもに指示を出す際には、指示の意味を説明しましょう。何のためにやっているのか目的をわかった上で行動することが大切。たしかに、「よくわかんないけど言われたからやる」では意欲も効果も上がらないですよね。
②一時一事の原則
子どもに指示を出す際には、一つずつ出しましょう。一度に二つも三つもダラダラ指示されると覚えていられません。一つのことに集中して取り組み、一つずつ着実に終わらせていった方が効率がいいですよね。
③簡明の原則
指示や発問をする際には、短く簡潔に言いましょう。長い指示や説明は、授業のテンポと集中力を低下させます。目指せ15秒以内。
④全員の原則
指示をする際は全員に向けてしましょう。個別の指示は、時に食い違いを生み、混乱につながります。「AさんはよかったのにBさんにはダメって言った!」こんなことが起きてしまうかも。気をつけたい所ですね。
⑤所・時・物の原則
子どもに活動させるには、場所と時間と物を用意しましょう。たいして考える時間を与えずに考えを聞いたり、物が不十分なのに活動させても効果は上がりません。準備大切。
⑥細分化の原則
指導内容を細かく分けて考えましょう。算数の問題でも、体育の跳び箱でも、細かく分ければ非常に多くの要素で構成されています。立式、筆算、位取り、計算、もっともっと細かくすることもできますね。指導内容の細分化を行い、分けたものに対して「どう指導すればよいか」の手立てを多くもつことが、教師の腕の見せ所なのかもしれません。
⑦空白禁止の原則
子どもが何もすることのない空白の時間を作らないようにしましょう。作業の速い子のことも考えて、事前に指示や準備をしましょう。1分たりとも無駄な時間はなくしたいですね。
⑧確認の原則
子どもはしっかりついてきていますか、達成率を確認しましょう。「わかりましたか?」と聞くのは当然無意味です。「全員起立。活動が終わった人は座りましょう」「書けた人は立ちましょう」「隣の人と確認しましょう」などの指示で、授業のテンポを維持しつつ、全員がついてきているかを把握しましょう。
⑨個別評定の原則
誰が良くて誰が悪いのかを伝えましょう。先生は一人一人を確実に見ている、と子どもが思えるようにしましょう。「みんなとっても上手だったね」これでは、何も伝えていないのと同じです。「Aさんはここがよかった。Bさんはここがあと一歩。Cさんはここが成長した。」どれだけの子どもをどこまで深く見取れるか、教師の力量です。
⑩激励の原則
常にはげまし続けましょう。教師の仕事は、子どもをやる気にさせることです。人を動かすための方法はやる気にさせる以外にもあります。本書ではアメとムチを用いたり競争させたりすることが例に挙げられています。しかし、やはり本質はやる気を引き出すことです。決して見放さず、否定せず、粘り強くはげまし続けましょう。
感想
この記事を書くにあたり久しぶりに読み返しましたが、いま読んでも学びが多く、意欲爆上がり。とても有意義な読書になりました。
冒頭にも書きましたが、自分の記憶の中で一番最初に衝撃を受けた教育書が本書です。まだ若手の頃にこの本に出会えて本当によかったと思っていますし、この本に書かれていることにたくさん助けられてきたと思います。
教師の指導が変われば子ども達が変わる。そんな当たり前なことを、自分の身で確かに実感できたのは、間違いなくこの本のおかげです。
教師として教壇に立ち始めてからそこそこ経ちましたが、本書を読むと、いまだに自分はまだまだだなと思うことばかりです。もっともっと精進せねばいかんですね。
今後も、
あれ?授業が上手くいかないな…。
なんだか最近授業をしていても楽しくないな…。
こんな風に思った時は、また改めて本書を読んで、初心に立ち返りながら実践に戻ろうかと思います。
まとめ
著 向山洋一『授業の腕を上げる法則』いかがでしたか?
今回の記事では第1章を簡単に紹介することしかできませんでしたので、興味をもった方は是非実際に読んで実践してみて下さいね。
時代が変わっても決して変わることのない原理原則
永遠の名著
すべての教師、必読の一冊です。
最後までお読みいただき、大変ありがとうございました。